最近、英語のネイティブスピーカーと仕事上の打ち合わせをする機会が増えてきた。そのおかげもあってか、以前に比べると、英語を聞いたり話したりすることに対する恐怖感はだいぶ取り除かれたように思う。やっぱり「慣れ」は大切な気がする。
ビジネス英語というと、TOEICを思い浮かべる人も多いだろう。TOEIC試験会場での受験者アンケートのなかには「言語能力のうちもっとも重要視しているのは何ですか?」といった項目があるのだが、私はもっぱら「リスニングとスピーキング」と回答することにしている。仕事をする上で、もっとリスニング力とスピーキング力があればなぁ、と日々感じているからである。
リスニングについてだが、仕事上、そもそも相手の言っていることが理解できないと打ち合わせすることすらできない。「わかったふり」でごまかすことが全くないとまでは言わないが、それによって信頼関係が崩れ、仕事に悪影響が及ぶことを私はむしろ恐れる。パーフェクトなリスニング力があったとしても、仕事のなかではよくわかならい部分は必ず出てくるものである。そういったときの不明点の確認、あるいは自分の理解が正しいものだったかどうかの確認。これらが非常に重要だ。信頼関係の構築といった観点からいうと、「あいづち」もまた有効かもしれない。あなたの言うことを理解していますよ、納得していますよ、といった意思表示は話す相手に安心感を与えるからである。つまり、スピーキングについては「確認」「あいづち」の2つが適切にできることが、私の場合は必須であるともいえる。
さまざまな場面ごとにまとめられた英語表現集をよく見かける。高校の英語表現の教科書もよくまとまっていて使い易い。先に述べた「確認」「あいづち」以外にも、「依頼」「提案」「許可」「謝罪」「感謝」などを言語の機能別に学ぶことができる点が便利だ。こういった機能別のアプローチから英語を勉強することも大切であるということに、ようやく最近になって気づき始めた。
さて、仕事上で英語を使う際には少なからず、「このことを伝えたい」「私の気持ちをわかってほしい」といった情念??のようなものが心の奥底に絶えずある。英語が伝わらない・・・といったような状況で気まずさや絶望感に襲われたことは数え切れない(※)。しかしながら、このような苦い経験こそがスピーキング力を伸ばすためのエネルギーとして生かすことができるのは事実である。私のスピーキング力は拙いものではあるが、この根源的な「なんとか伝えたい」「わかってほしい」というコミュニケーションへの渇望こそが、スピーキング力を高めていく起爆剤になり得ると思うようになった。あの場面ではなんと言ったら分かってもらえただろうか・・・などという振り返りが次へのステップとなる。なんとかして伝えたい、または伝えなければならないといった切迫した情況が成長を促すのである。留学して英語を学ぶ意義も当然そういったところにあるだろうし、チャットやオンライン英会話もそう。中には愛する人とのコミュニケーションを通して英語を学んだといった羨ましい…人もいるかもしれない。私に関して言うと、仕事で冷や汗をかきながら四苦八苦して英語を使ってコミュニケーションを取ることがこれにあたる。
(※)英語が伝わらない大きな原因としては、そもそも「話す声が小さい」ことが挙げられるかと思います。単語にストレスを置かないで発音している場合にはさらに伝わりにくいでしょう。「自信がないから小さな声で言う」→「何を言っているかわからない」といった失敗例は散見されます。すぐできることとしては、知っている単語をとりあえず大きな声で言ってみること。1単語にこだわりすぎず、できるだけ多くの単語を次から次へと言ってみることを意識すると、伝えたい内容を相手が想像しやすくなると思います。これは英語だけに限ったことではないかもしれませんが。私の同僚はよく「おまえの言いたいことはこういうことか?」と親切に言い換えてくれます。
ところで近頃は、コミュニケーションの場における「英文法」の価値について改めて考えてみることが多くなった。実際は「文法」を意識する余裕などほとんどなく英語を話していることが多いのだが、ビジネス英語で「英文法」をどういうふうに生かせるかということに関して、次回は私見を述べてみたいと思う。
Children don't come into the world knowing how to fight and to hate. They learn how to hate.
―Desmond Tutu
(子どもは戦い方や憎み方を知りながらこの世に生まれてくるのではありません。子どもは憎み方を学ぶのです。)
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